安比ハロウ校への提言

安比ハロウ校の保護者の方からコメントを頂いたので追記しています。2023年10月7日

最近、安比ハロウ校のオンラインの記事を見たボーディングスクールやインターナショナル界隈の保護者から色々なコメントが上がっています。記事の座談会をアレンジしたので記事を見た感想やコメントを書きます。

私はスペインにいて東京での座談会には参加できなかったのですが、記者さんが安比ハロウ校の保護者から話を聞き、さらに安比ハロウ校の校長にも取材して記事をまとめています。

安比には昔スノーボードをするために行ったことがありますが、安比ハロウ校には訪問したことがなく、数年前にオンラインのセミナーに参加しました。中国人のプレゼンテーターが流暢な英語と日本語で対応していたのが印象的でした。

記事中の食堂の配給業者について、アジアの分校でもイギリスのボーディングスクールもですが、在学中に配給業者の変更はよくある話で、私たちも2度ほど経験しました。学校の食事がもっと美味しくなるようにみんなの意見を取りまとめ学校に伝える係がありました。

安比ハロウ校の保護者が食事の配給業者を変更するようにリクエストをしていることは開校当初から耳にしていました。配給業者を変えるのはそれほど難しくないはずです。ただ、半年以上経つのにまだ改善されていないのだとしたら、もしかしたら地元の配給業者が対応しきれない部分が原因かもしれません。

安比ハロウ校の配給業者ですが、初年度に保護者の有志も加わり、変更されたそうです。その結果、食事が美味しくなり品数のバリエーションが増え、満足度は上がったそうです!

学校の周りでイギリス人、中国人、日本人を満足させる(特に日本人)メニューを配給できる会社が見つからなかったのでしょうか。予算などもあるのでしょうがホテルのレストランなどが対応してくれたらいいのになと思いました。

イギリスボーディングスクールでは、パスタ、フィッシュアンドチップス、ラザニアetc..定番のメニューが多く週替わりですが、同じようなメニューが続きます。美味しい美味しくないもあるかもしれませんが、普段から色々な味を楽しんでいる日本人ならメニューに飽きます。

娘はイギリスの食事は昔から食べているので慣れていて、イギリスのボーディングスクールの食事はどの学校に行っても美味しいといいます。もちろん美味しい食事を提供してくれる学校やそうでない学校があるので、気になる場合は週の食事メニューを聞いてみても良いかもしれません。

シニアスクールになったら電子レンジやキッチンが使えるようになったため、近くのM&Sに行って購入したカップラーメンや寮に備え付けのパスタを友達と茹でて食べているようです。他に家からライス、ヌードル、お菓子などを持って来ている学生は沢山います。(母国の味が恋しくなります)

娘を学校に迎えに行ったときにはまずはラーメンなど日本食に行きますし、日本人ガーディアンさんが1、2ヶ月に一回ロンドンのEat Tokyoに連れて行ってくれるのを娘も楽しみにしています。

一番初めのイギリスのホストファミリーのご飯が本当に合わなくて娘が悲しんでいました。すぐに変更しましたが、今のホストファミリーはブラジル人の奥様でご飯が美味しくて、学校が変わって遠くなりましたが気に入ってずっと利用させてもらっています。

オープンデーはどのボーディングスクールも気合を入れて作るので美味しいですが、その後グレードダウンするというのはよく聞く話です。舌が肥えている日本人や中国人を満足させるのは結構難しいのかなと思います。食堂では、同じ子が何度もおかわりできないようになっていたり、野菜は必ず盛ることなど学校によってルールがあったりします。

イギリスのボーディングスクールでは、ランチ前の10時半ごろと午後のティータイムが寮で用意されていて軽食を頂くことができます。安比ハロウ校も寮での軽食を充実させても良いのかもしれません。

2年前にイギリスに半年近くいて、毎日のように平日ランチをレストランで食べていましたが、昔よりご飯は美味しくなったとはいえ食は日本には敵わないと思います。住んでいるシンガポールのレストランよりイギリスの方がメニューのバリエーションが豊富でした。

安比ハロウ校のスナックタイムは2回で、食堂で軽食が取れるそうです。イギリスのボーディングスクール(シニアスクール)に通う娘に確認したところ、今の学校では安比ハロウ校と同じく、食堂で軽食が取れるけど遠くてあまり行ってないという話でした。娘が以前に通っていたプレップスクールでは、中休みやランチに寮に戻って軽食が取れたのでとても良かったです。

続いて、日本人がインターの学校内で日本語を話すのは、シンガポールのインターでも聞く話です。娘が通っていたアジア分校では、新しく入って来た子が休み時間に日本語を話すことが一時問題になっていましたが、日本語を話していた学生は先生から注意されていました。息子のインターでは日本語を話しても先生からの注意はなく、むしろ入ってきたばかりの日本人を日本語でサポートしてあげて欲しいと言われます。

日本人同士の揉め事は、シンガポールでも聞く話です。大抵揉めるのは日本人男子です。なので、ハロウ安比に限ったことではないと思います。英語が苦手なESL対象の子がさらに英語が苦手な男の子を揶揄い揉めるパターンが多いです。

安比ハロウのサイトを見ると、コンピューターを使った入学試験で、数学、英語、非言語認知能力とライティングでイギリスのボーディンスクールの13+までと同じような一般的な入学試験を課しています。イギリスの名門校だとその後学校独自の試験や寮に泊まっての試験があります。

アジア分校だと算数ができると英語が多少見劣りしても入学させることがありますし、慣れない英語環境でのストレスから不満が溜まっていたのかもしれません。安比ハロウのESL環境は分からないですが、上記のようにイギリス系のインターだと日本語を話すのは禁止と厳しく言われるので、徹底して厳しくしたほうが日本人の英語の上達も早いと思います。

ボーディングスクールは特にプレップスクール(Year7&8)は日曜日のアクティビティが大切です。アジアの分校でも限られた環境やリソースの中、スポーツ大会、ゲーム大会、小旅行、モールに買い物に行ったりと工夫をしてフルボーディング生が楽しくみんなと交流できるようなイベントを学校が企画してくれます。

シニアスクール(Year9)になると減りますが、それでもボーディングやロンドン小旅行など何かしらのイベントがあり、子どもたちは楽しみにしています。安比ハロウも何か工夫はできないのでしょうか?自然キャンプ的なものや現地の学校との交流、現地のツアー会社など入ってもいいのかなと思います。

またイギリスのボーディングスクールでは水曜日、土曜日(学校によって違う)の週2回は、ゲームズと呼ばれる授業で他の学校とのスポーツの対応試合があります。シンガポールのインターも学校対抗の各種スポーツ大会がありますし、タイやマレーシアでも盛んです。

岩手県だと他にインターナショナルスクールがなく、東京や仙台など大都市まで出るのも大変なので、実施が難しいだろうと開校当時から思っていましたが、記事でスポーツ大会の不満がないのは意外でした。

スポーツ大会に関しては、得意な学生は都内に遠征に出かけたり、ハロウ安比校が会場を提供して行っているそうです。

補足ですが、イギリス系のインターやボーディングスクールでは、3学期制で学期毎に決まったスポーツを行います。男子はラグビー、フットボール、ホッケー、クリケット、女子はタッチラグビー、ネットボール、ホッケー、クリケットなどで、スキル別に例えばAからEチームに分かれてそれぞれ近隣の学校と試合をします。スポーツに関してはイギリスの学校のようにもっと生徒が参加できる仕組み作りがあってもいいのではとハロウ安比校の保護者の方と意見が一致しました。

ゴルフ、スキーなど立地を生かしたスポーツを活性化するのは期待しています。ドラマ(演劇)のレベルの高さや音楽の個人レッスンや発表会、有名人を呼んでの公演などもイギリスの名門ボーディングスクールは盛んですので、取り組める分野から始めていくのがいいのではないでしょうか。

SKEWと呼ばれる罰則は学校によって名前は違えど、イギリスのボーディングスクールでも英系アジアの分校も一般的なものです。メリットと呼ばれる褒賞もセットで設けています。宿題忘れ、廊下を走る、ふざけるなども対象で、男子の中には罰則が溜まり親が呼び出されていました。

一方でメリットを沢山取ると週末や期末の学年や全校生徒の集まりで表彰されたりします。またメリット、ディスティンクションの中には外部に提出するスクールのレポートに記載されるものや学年末のアワードにつながるものもあり、子供達の頑張るモチベーションにもなっているのでイギリスのこの制度は好きです。

記事には書いてなかったかもしれませんが、安比ハロウ校や他のアジア分校でよく聞く問題が、寮の携帯電話の使用です。夜は寮母さんが携帯を預かりに部屋をまわるようですが、携帯を2個使いにして1つだけ寮母さんに渡してもう一つの携帯を使うようです。一方、娘のイギリスのプレップスクールでは、学校に到着したタイミングでipad,携帯を渡し、ハーフタームの休みまで返してくれずとても厳しいです。(Kindleは本を読むためok)隠れて携帯をいじっている子はいません。

ラグビースクールのイギリス本校に訪問した時に、寮母さんがとても厳しくて驚きました。イギリスのボーディングスクールでは、学校の中でボードゲームしたり、イベントをしたり、卓球台があったり、犬がいたり寝るまでみんなで楽しむ環境が整っています。娘は50人ほどいる寮でゲームが一番うまかったです。寮の大画面でSwitchでマリオカートをみんなでやったら携帯よりそちらにハマる子の方が多いかもしれません。本を読む時間も決まっています。

アジア分校だと寮の部屋で勉強をするところもあるようですが、部屋にこもると携帯電話を見てしまったりするので、プレップスクール(Year7/8)の頃は学校でみんなで宿題をやりその場で先生に聞くシステムがいいと思います。娘の寮の寮母さんは歴10年で気が利いていて本当に素晴らしかったです。安比ハロウ校もイギリス分校での強みを活かして、ボーディングスクールの長い歴史があるイギリスの寮システムをもっと真似してもいいのにと思います。

安比ハロウ校もイギリスのボーディングスクールから評判の良い寮母さんを引き抜いてきてはいかがでしょうか。ラグビージャパンが良い寮父母さんをイギリスから連れて来ているようなのでその辺り期待しています。

残念な話ですが、寮内での盗難や紛失もイギリスの良いボーディングスクールでも聞く話です。それでもドームと呼ばれる部屋の中での盗難はあまり聞かないので(寮の入り口や共用部に置いておくと無くなるはある)各自の食料の保管は部屋で許可しても良さそうです。

卒業後の進路についてですが、安比ハロウ校がAレベルでかつ日本のカリキュラムに準拠してない(一条校でない)ということはオンラインセミナーで聞きました。

以前、軽井沢風越学園の保護者に取材した記事にも将来の進路について不安があると書かれていましたが、日本の就職を考えている人にとってインターやオータナティブスクールに通う保護者は特に早めに大学進学について考えておくべきなのかもしれません。

国内の一条校取得には条件があるのかもしれませんが、軽井沢のISAK(こちらはIBですが)のようにAレベル+一条校を目指していくのは難しいのでしょうか。安比ハロウ校の保護者からラグビージャパン、白馬、日本の他のインターに転校を考えている話は聞きますが、シンガポールでのインターの転校はよく聞く話なので、納得する学校が見つかるまで試されたらいいと思います。

タイのハロウ校分校から娘のイギリスのプレップスクールに来ていた女の子は、イギリスの良いシニアスクールに進学が決まりました。

安比ハロウ校の学生たちがこの夏にイギリスのサマーキャンプに参加した話も聞きました。日本やアジアの分校からステップアップしてイギリスのボーディングスクールにチャレンジしてほしいなと思います。国内のボーディングスクールに良い先生が集まり、寮や勉強の環境が充実し、学校生活がもっと良くなっていくのを期待しています!

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